昼間とはまったく違う表情を見せてくれる「夜の庭」。そこに適切なライティングを加えることで、防犯や安全性が高まるだけでなく、庭で過ごす時間そのものがぐっと豊かになります。家族や友人と集まって語らうひととき、ひとりで静かにリラックスする時間、あるいは室内からふと眺める景色。そのすべてが光の演出によって特別なシーンへと変わり、暮らしに新しい価値を与えてくれるのです。
ライティングは、ただ「暗い場所を明るくする」ためのものではありません。光があることで空間に情緒が生まれ、そこで過ごした時間が心に刻まれます。安心感をもたらすだけでなく、暮らしに小さな喜びを感じさせてくれる——そんな存在が庭のライティングなのです。
今回は、夜の庭をもっと楽しむためのライティングデザインについて、シーンごとの魅力や実例を交えながらご紹介していきます。
目次
1.ライティングの効果と役割

YKK AP「リウッドデッキ」200EG
庭に照明を設ける目的は、大きく分けて「防犯」「安全」「演出」の3つです。
まずは防犯。暗い庭やアプローチは不審者にとって都合のよい環境になりがちですが、計画的にライティングを配置すれば、夜でも安心して過ごせる空間に変わります。センサーライトやアプローチを柔らかく照らす灯りは、抑止力となると同時に、帰宅時にほっと安心させてくれる存在でもあります。
次に安全。段差や通路、玄関まわりをしっかり照らすことで、夜間の転倒や怪我を防ぐことができます。特に小さなお子さまやご高齢の方がいる家庭では欠かせないポイント。灯りは、家族の足元をやさしく守る“ガイド”として機能するのです。
そして演出。樹木を下からライトアップすると樹形が浮かび上がり、昼間とはまったく違う幻想的な姿を見せてくれます。さらに、こだわりのデザインウォールにスポットライトを当てて素材感を強調すれば、庭全体の印象がぐっと引き締まります。眺めるたびにわくわくする景色づくりができるのも、ライティングならではの醍醐味です。
このようにライティングは「機能性」だけでなく「心理的な効果」も与えてくれるのが特長です。安心感に包まれるだけでなく、庭に出る楽しみが増え、家族や友人と過ごす時間の質までも変えてくれるのです。
2.家族や友人と集うアウトドアリビングをライティングで楽しむ
最近では、庭を「もうひとつのリビング」として活用するご家庭が増えています。そこにライティングを取り入れれば、日が落ちた後も居心地のよい特別な空間に変わり、自然と人が集まる場所になります。

YKK AP「VIEW UP」スパイクプレートフロアライト、ダウンライト
たとえば、タイルテラスに屋根を設け、その内側にダウンライトを仕込むと、夜でも明るく過ごしやすい空間に。食事や読書はもちろん、子どもたちが安心して遊べる場所としても機能します。光があるだけで「暗いからもうおしまい」とならず、庭の活用時間がぐっと広がるのです。

YKK AP「VIEW UP」ダウンライト
また、カーポートの屋根に照明を仕込めば、車を移動するだけで大人数が集まれるBBQスペースとして利用できます。光の効果で天井高が強調され、開放感あふれる団らんの場に早変わり。家族や友人と過ごす時間が、より特別なものになります。
さらに、庭の壁やスクリーンにプロジェクターで映像を投影すれば、まるで野外シアター。やわらかな間接照明と組み合わせることで映像を邪魔せず、映画やスポーツ観戦を心ゆくまで楽しめます。
ライティングは、家族や友人と過ごすひとときを温かく包み込み、いつもの庭を非日常的な体験の場へと変えてくれるのです。
3.ひとり時間を楽しむナイトガーデンのライティング
夜の庭は、誰かと過ごすだけの場所ではありません。静かな夜にひとりで庭に出るときこそ、ライティングの真価が発揮されます。

YKK AP「リウッドデッキ」200EG
リラックスを目的とするなら、光は柔らかく、色温度を抑えたものが最適です。たとえば足元に小さなガーデンライトを灯すだけで、庭全体が落ち着いた雰囲気に包まれます。夜風にそよぐ植栽やハーブの香りと相まって、五感が満たされる特別なひとときとなるでしょう。
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YKK AP「VIEW UP」
スパイクプレートフロアライト
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YKK「VIEW UP」
ローポールライト
夜だからこそ見える植物の表情もあります。ライトに照らされて浮かび上がる葉の陰影や、花びらに映る柔らかな光は、昼間とはまったく異なる美しさを見せてくれます。小さな光がつくり出す陰影の世界に気づくと、庭との関わり方がぐっと深まります。

YKK AP「VIEW UP」ローポールライト
また、防犯の備えがしっかりしているからこそ、安心してひとりの時間を楽しめるもの。外周にはセンサーライトやポールライトを配置しつつ、居場所はやわらかな光で演出する。そうすることで「守られているからこそ得られる自由な時間」を感じることができるのです。
夜の庭は、ライティングによってプライベートな安らぎの空間へと変わります。ほんの数分でも、やさしい光に包まれた庭に身を置くだけで、日常の疲れがすっと和らいでいくのを感じられるのではないでしょうか。
4.室内から眺めて楽しむライティングの魅力
庭のライティングは、外で過ごすときだけに活躍するものではありません。窓越しに眺める光景もまた、室内の暮らしに豊かさを添えてくれます。
たとえば、リビングのソファに腰かけ、大きな窓の向こうにライトアップされたシンボルツリーを眺める時間。外の景色が一枚の絵画のように映り、室内にいながら四季の移ろいを感じることができます。照明によって強調された枝ぶりや葉の陰影は、日常の風景を少し特別なものへと変えてくれるのです。
ライティングは、「外に出る楽しみ」と「室内から眺める楽しみ」の両方を与えてくれます。二つの視点を取り入れることで、庭は家全体を彩る存在となり、暮らしの質を大きく高めます。
5.安心と豊かさを灯すライティング

YKK AP「リウッドデッキ」200EG
庭のライティングデザインにこだわることで、夜の時間は安心と豊かさに満ちたひとときへと変わります。
ただし、ライティングは「光を置く場所」や「明るさのバランス」によって印象が大きく変わります。眩しすぎれば落ち着かず、暗すぎれば安全性が損なわれてしまうことも。だからこそ、機能性とデザイン性の両方を考慮した計画が欠かせません。
プロの視点を取り入れれば、防犯や安全といった基本の役割を押さえつつ、心に残る景色を描き出すことができます。夜の庭をもっと楽しむために、ぜひ、エクステリア専門の施工店に相談しながら、「わが家ならではのライティングデザイン」を計画してみてください。
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著者プロフィール
山岡由佳 クラスデザイン代表
二級造園施工管理技士、一級エクステリアプランナー
京都府立大学 人間環境学部 環境デザイン学科を卒業後、E&Gアカデミーにてエクステリアとガーデンを専門的に学ぶ。 エクステリアとお庭の専門店にて15年、ランドスケープデザイン設計事務所にて2年の実績と経験を積み、 2020年に独立し「cras design(クラスデザイン)」を設立。 個人宅向けの外構造園設計や施工店への作図サービスを中心にSNS運用サポートやブログ執筆サービスも行っており、 様々な視点から役立つ情報をお届けしています。












