バルコニーは屋根付きと屋根無しでは使い勝手が大きく変わります。なかには屋根が無いために、さまざまな困りごとを抱えているケースも。そんな時は後付けリフォームができる「テラス屋根」を設置すれば、毎日の暮らしがぐっと便利に快適になります。
目次
屋根が無いバルコニー、10の困りごと
バルコニーは洗濯物の干し場として使えるのはもちろん、DIYの作業場にしたり、プランターで家庭菜園を楽しんだり。また家にいながらにしてアウトドアの雰囲気を楽しめるくつろぎの場にもなるなど、使いこなせばとても便利なスペースです。
ただし、バルコニーは屋根付きと屋根無しでは使い勝手が変わります。また屋根の有無で室内環境も変わるため、屋根が無いことで暮らしの中に様々な困りごとを抱えているケースも。
屋根が無いバルコニーの困りごとには以下のようなものがあります。
- 雨の多い日本、洗濯物を干せる日が意外と少ない
- 外出中の急な雨で洗濯物がびしょ濡れに
- 強い日差しが当たってバルコニーが暑い
- 日差しが強すぎてプランターの植物が枯れる
- 室内に日差しが差し込んできて夏に暑い
- カーテンや家具、床材が紫外線で退色する
- バルコニーにある家具や小物が劣化しやすい
- 窓ガラスが風雨で汚れやすい
- 雨の日にバルコニーでの作業ができない
- くつろぎのスペースにしたいが環境が整わない
バルコニーに屋根があれば、こういった困りごとを解決してくれます。実は日本の気候では家の周囲に屋根があるほうが、暮らしはぐんと便利に快適になるのです。
日本の気候では屋根があるほうが便利で快適
日本では古くから、家の周囲に屋根の軒を長く伸ばす家づくりがされてきました。これは日本の気候の中で暮らしやすい家にするための古くからの知恵。
例えば夏の暑さの原因は、太陽の日差しが運んでくる日射熱です。屋根が長く伸びていれば、室内への日差しの差し込みを遮ってくれるので、室温の上昇を抑え、暑さを防ぎやすくなります。この日差しを遮るだけでも、エアコンが効きやすくなり、光熱費も削減できます。
加えて、日差しの中には紫外線が含まれていますので、室内に日差しが差し込むと窓際のフローリングやカーテン、家具が焼けてしまいます。もちろん人も日焼けをします。同様に、屋根が無いバルコニーに置かれた家具や樹脂製の植木鉢、洗濯ばさみなども紫外線でぼろぼろに。こういった困りごとも屋根があれば防ぎやすくなります。
また日本は雨が多い国でありながら、窓が大きく数も多いのが特徴です。そのままでは雨が吹き込みやすかったり、外壁や窓が汚れやすかったり。屋根があれば雨の吹き込みを防ぐことができ、外壁や窓をキレイに保ちやすくなります。
今人気のアウトドアリビングも、日本で古くから存在する文化のひとつです。日本では内と外を繋ぐ「中間領域」を大切にし、広縁、濡れ縁、縁台など、家にいながらにして自然と繋がる暮らしを楽しんできました。バルコニーも中間領域のひとつ。雨の多い日本で有効活用するためには、屋根があるほうが便利です。
このような理由から、日本では家の周囲に軒を伸ばす家づくりがされてきましたが、現在では長い軒は贅沢品となり、デザイン上の理由からも軒が無い家がたくさんあります。しかし家の内と外を繋ぐ存在であり、また大きな窓に接していることが多いバルコニーには、屋根があるほうが暮らしは格段に便利に快適になるのです。
バルコニーに後付けリフォームがしやすいテラス屋根
バルコニーに後付けリフォームがしやすいのが、アルミ製のテラス屋根。アルミ製のフレームに高耐久なポリカーボネートの屋根材を組み合わせた軽い屋根で、家に負担を掛けにくく、高耐久なのが特徴です。
ポリカーボネートの屋根材は光を通すので明るさが確保しやすく、暑さの原因となる熱線を遮断したり、日焼けの原因となる紫外線をカットしたりする機能を持つタイプもあります。
こちらは、YKK APのアルミ製のテラス屋根「ソラリア」です。「ソラリア」は壁にしっかりと固定して設置し、3階建てまで対応ができる製品も。耐積雪性能に優れたタイプも揃っていますので多雪地帯でも安心して使えます。
ただし外壁に外側に取り付ける製品は、一戸建ての場合に限ります。マンションなどの集合住宅では、バルコニーやベランダは共用部分。取り付けはできませんので注意をしましょう。
バルコニーを囲ったり、目隠しができたりする製品も
バルコニーのテラス屋根には空間を更に快適にしてくれる「バルコニー囲い」や「目隠しオプション」もあります。
バルコニー囲いとは、屋根だけでなくぐるりと周りを囲む設備で、強風時や強い雨、雪などの天気に左右されることなくバルコニーを使うことができ、また、花粉、黄砂、落ち葉、虫の侵入なども防ぎやすくなるので1年中快適に洗濯物を干すこともできます。
バルコニー囲いのメリットは何といっても、明るさを確保しながらも、屋外とは異なる快適な空間が作れること。強風時や大雨の日でも洗濯物を飛ばされたり、濡れたりする心配をせずに干すことができるようになります。
またバルコニーで洗濯物を干していて意外と気になるのが、ご近所や通行人からの視線です。洗濯物は見られなくない、また干している姿を見られるのが気になるといったこともあります。
そんな時は、視線が気になる場所に取り付けできる「目隠しパネル」のオプションを活用しましょう。風通しよく、でも視線だけは程よく遮り、また格子を自由に組み合わせることができるので、わが家の外観に合わせたデザインを選びやすくなっています。
日よけなら巻取り型シェードの取り付けも
バルコニーにテラス屋根を取り付けるのが難しい場合は、巻取り型のシェード「アウターシェード」を設置するだけでも、快適度が上がります。
「アウターシェード」とは、日差しを遮って室温の上昇を抑え、エアコンの電気代の削減にも役立つ日よけのシェードです。ロールスクリーンのように使わない時はくるくると巻取り、使う時だけ引き出せばいいので、見た目もすっきり。とても使いやすい人気の製品です。
バルコニーの手すりに取り付けるように使えば、しっかりと日差しを遮り、バルコニーと室内が快適に。手軽で効果が高いアイテムです。
バルコニーに屋根があれば、洗濯物干し場として便利に使えるようになるのはもちろん、室内環境を整えたり、バルコニーをくつろぎのスペースとして活用したり。後付けリフォームがしやすいテラス屋根を選んで、毎日の暮らしを更に便利に快適にお過ごしくださいね。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中